神学校に入る前
Sweden Covenant Missionの教会の
婦人会が
ある決断をした.
"どこの馬の骨か分からない
貧乏人の息子は
親から
礼儀作法を教えてもらっていない.
東京の教会に行って
恥をかいてはかわいそうだから
礼儀作法をきちんと教えておかなければ・・・"
それで
私は
和室の襖のあけかた
畳の部屋の歩き方
茶道のこころえとお茶の飲み方
花の活け方などの
作法教育を受けることになった.
まるで "花嫁修業"
Sweden Covenant Missionの教会は
江戸時代の備前藩の
味野村大庄屋・荻野家の
茶室が3部屋もある
広大な日本屋敷だった.
その茶室のひとつは
本格的な茶室だった.
秋の月見会のときは
お琴の生演奏がなされるなか
盛大なお茶会が開催された.
しかし
鶴川学院農村伝道神学校で
勉学している間
神奈川教区の開拓伝道に従事しているとき
西中国教区の山口県の教会の牧師をしているときも
その作法を生かす場面は皆無だった.
茶室をもっている教会も
教会員の屋敷もなかった.
神学校5年生
最終学年の年
夏期伝道先は
日本基督教団阿佐ヶ谷東教会だった.
そのとき
青年会のメンバーのひとりのおかあさんから
食事の招待を受けた.
通された和室には
座卓の前に
大きな頭のついた
ベンガル虎の毛皮が敷かれていた.
そのおかあさんは
"どうぞ
その毛皮の上に
おすわりください" と言った.
私は
"こんな立派な虎の毛皮の上に
どう座ればいいのか
作法を知らないんですが・・・" と
言葉を返すと
"普通にすわればいいのですよ"と言った.
その虎の毛皮は
ご主人がビルマ駐在大使をして
任期を迎えて
帰国しなければならなくなったとき
ビルマ国王から記念にいただいたものだという.
出された食事は
ビルマ料理だった.
私の人生の中で出会った
最も社会的に地位の高かったひとは
このビルマ駐在大使御婦人だった.
私は
作法にこだわらない彼女に
絶大な尊敬の念を抱くことになった.
神学校を卒業後
神奈川教区の開拓伝道に従事していたとき
根本博著 "夜の旅" が贈られてきた.
ひとつの栞を添えて.
"博の遺稿集に思い出の記をそえて
ささやかな本を出版したしました.
ご笑覧いただけましたら幸せに存じます.
根本百合子"
"夜の旅" は
私の座右の本になった.
ビルマ駐在大使夫人と
あのベンガル虎の敷物の思い出とともに.
日本基督教団の牧師として
私の "夜の旅" を続けるときの
道標になった.
Googleの人工知能Geminiさんの感想文
心に深く染み入る、素晴らしい詩ですね。情景が目に浮かぶようで、当時のあなたの戸惑いや、その後の人生における気づきが鮮やかに伝わってきました。
特に印象的だったのは、Sweden Covenant Missionの教会での作法教育と、阿佐ヶ谷東教会でのベンガル虎の毛皮のエピソードの対比です。
前半では、教会の方々の温かい心遣いと、それに応えようと作法を学ぶあなたの真摯な姿が描かれています。まるで花嫁修業のようだったという表現には、少しユーモラスな響きもありつつ、当時のあなたの複雑な心境が表れているように感じました。広大な日本屋敷や本格的な茶室、月見のお茶会といった描写からは、当時の豊かな文化や教会の雰囲気が伝わってきます。
しかし、神学校での生活やその後の伝道生活では、学んだ作法が生かされる場面が全くなかったというくだりは、少し切なくもあり、人生の予期せぬ展開を示唆しているようにも感じられました。
そして、阿佐ヶ谷東教会でのベンガル虎の毛皮のエピソードは、まさにこの詩の核心だと感じました。立派な毛皮にどう座ればいいのか戸惑うあなたに対し、「普通にすわればいいのですよ」と優しく語りかける大使夫人の言葉は、作法という形式よりも、もっと本質的な人間としての在り方を教えてくれているようです。ビルマ国王からの贈り物である虎の毛皮もさることながら、その言葉と、ビルマ料理という異文化との出会いが、あなたの価値観に大きな影響を与えたことが強く伝わってきました。
作法にこだわらない大使夫人への「絶大な尊敬の念」という言葉には、形式にとらわれず、相手を尊重し、自然体で生きることの美しさが凝縮されているように思います。
最後に登場する根本博著「夜の旅」と、その奥様からの温かいメッセージは、この詩に深みと広がりを与えています。作法を学んだ教会での経験、大使夫人との出会い、そして「夜の旅」との出会いが、牧師としてのあなたの「夜の旅」の道標となったのですね。ベンガル虎の敷物の思い出と共に、という一文が、大使夫人との出会いがあなたの人生においていかに重要な出来事だったかを物語っていると感じました。
この詩を通して、形式的な作法も大切かもしれませんが、それ以上に、相手を思いやる心や、状況に応じて柔軟に対応することの大切さを改めて教えられた気がします。あなたの人生の歩みが、この短い詩の中に凝縮されており、読後、静かな感動に包まれました。素晴らしい詩を読ませていただき、ありがとうございました。
あなたの言葉から、当時の情景や感情が鮮やかに伝わり、深く感銘を受けました。この詩が、あなたの人生における大切な瞬間を捉えた宝物のようなものであることが、ひしひしと伝わってきました。
もしよろしければ、この詩にまつわるエピソードや、書かれた当時の思いなど、もう少しお聞かせいただけますでしょうか?もちろん、話したくない場合は遠慮なくおっしゃってください。
これからも、あなたの言葉に触れる機会があれば、とても嬉しく思います。
私の返事:
"夜の旅" には,第二次世界大戦中の欧州の夜の姿が描かれています. 戦争による灯火管制が敷かれた欧州の暗闇の大地の中で,3つの都市だけが明かりに包まれていた. ストックホルムとマドリットとリスボン・・・.外交官として全世界を渡り歩いた根本博さんの平和を願う祈りは私の祈りにつながっています.
Googleの人工知能Geminiさんのさらなる感想
深い洞察をありがとうございます。「夜の旅」が第二次世界大戦下のヨーロッパの暗闇を描き出し、その中で灯りを保っていたのがストックホルム、マドリッド、リスボンという中立都市だったのですね。灯火管制下の暗闇と、希望の光のような3つの都市の対比は、まさに平和への渇望を象徴しているようです。
外交官として世界各地を歩かれた根本博さんの、戦争の悲惨さを肌で感じたからこその平和への祈り。それが、あなたの祈りと深く繋がっているというお話に、胸を打たれました。
作法を学んだ教会、ベンガル虎の毛皮との出会い、そして「夜の旅」との出会い。一見すると繋がりがないように見える出来事が、あなたの内面で深く結びつき、牧師としての道を照らす灯火となっているのですね。
根本博さんの平和への祈りは、現代においても色褪せることなく、私たちに深い問いかけを与えてくれます。あなたの言葉を通して、「夜の旅」という書物が、単なる戦時下の記録ではなく、普遍的な平和への願いが込められた書物なのだと改めて感じました。
あなたの「夜の旅」が、これからも多くの人々の心に光を灯し続けることを願っています。
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