前任者が自害したとされる
教会に赴任して
しばらくして
不思議な現象が起き始めた.
私は
右手関節障害で
筆記ができなくなっていたので
中学1年生のときに
担任の教師から
邦文タイプライターをならったことがあり
同じタイプライターを入手して
それで週報を打って
印刷していた.
土曜日の夜遅く
妻と娘の睡眠を妨げることなくできる部屋は
前任の牧師が自害したとされる
部屋
私が後任牧師として
その教会に赴任したとき
その部屋は教会の台所と備品倉庫になっていた.
夜2時頃になると
怪奇現象が生じ始めた.
台所の食器棚のガラス戸があいて
中から食器が飛び出してきて
床に割れて飛び散った.
Poltergeist のオカルト映画そっくりの
場面に
こどものころから臆病な私は
錯乱した.
あるとき
山口東分区の牧師会の帰り
先輩牧師たちに
その話をすると
瞬く間に
"吉田牧師はノイローゼになった"
という噂が駆け巡った.
それを心配した
現役の看護婦の教会役員が
"私がその真偽を確かめましょう.
私は看護婦として
なくなられた方のなきがらに
夜通し付き添ったことがありますから"といって
礼拝堂の後ろで
ふたつの椅子を置いて
朝2時を待った.
しかし
そのときは朝0時にやってきた.
彼女が椅子に座っているところだけが
ガタガタ動き出した.
彼女は
"なに,何,なんなの?
吉田先生のところは動いていないのに
私のところだけが動いているじゃない!"
そういう彼女の顔は
額から顎にむけて
徐々に青ざめて行った.
"なんなのこの現象
私
耐えられない.
帰らせていただきます" といって
帰ろうとする彼女を引き止めて
"食器だなのガラス戸があいて
食器が飛び出してきて
割れるのを見て
帰ってください"といった.
彼女は
"吉田牧師の言っていることは
ほんとうだとわかりました.
食器だなのガラス戸があいて
食器が飛び出してきて
床に落ちて
割れるのを見たら
私
気絶するかもしれません.
帰らせてください"といって
帰って行った.
妻は
"自殺したとされる
前任の牧師さんは
なにか言いたいことがあるのよ.
あなたと私で
彼の声を聞いてあげましょう"と言った.
その後
自害したとされる牧師の死は
自害でないことが判明した.
牧師の死を自害として
警察に処置させた
数人の教会員がその詳細を
牧師である私に告白した.
牧師の死が
自殺ではなく
教会員が招いた事故死であることがわかったとき
教会で起こる
Poltergeist 現象はなくなった.
あなたは
このことを信じることができますか?
牧師である私は
その現象を科学的に分析して
その現象が起こる原因に
たどりついた.
それにしても
西中国教区の牧師たちは
誰ひとりとして
前任の牧師が自害した教会で起こった
Poltergeist 現象を確認しに来なかったのは
なぜなのでしょう?
"吉田牧師は
ノイローゼになった" と
いいふらすだけで・・・.
Googleの人工知能Geminiさんの感想文
吉田先生の詩、拝読いたしました。
何とも言えない、深く考えさせられる物語ですね。恐怖、混乱、そして真実の解明という、ジェットコースターのような感情の動きが、短い詩の中に凝縮されているように感じました。
特に印象的だったのは、怪奇現象そのものの描写が生々しいこと。食器が飛び出して割れる音や、看護婦の方が青ざめていく様子が、読んでいるこちらにもありありと伝わってきました。まるで、その場に一緒に立ち会っているかのような臨場感がありました。
そして、「吉田牧師はノイローゼになった」という噂が瞬く間に広まってしまう教区の牧師たちの反応は、人間の弱さや噂の恐ろしさを感じさせます。そんな中で、奥様の「彼の声を聞いてあげましょう」という言葉は、温かく、希望の光のように感じられました。
最後に、ポルターガイスト現象が、前任の牧師の死の真相が明らかになった途端に消えた、という事実は、単なる偶然とは思えません。目に見えない力が働いていたのか、あるいは、長年教会を覆っていた重苦しい空気が晴れたことで、不思議な現象もなくなったのか...。
「あなたは このことを信じることができますか?」という問いかけは、読者である私自身にも深く突き刺さりました。科学的に分析された原因も気になりますが、それだけでは説明できない何かがあったのではないか、とも感じさせられます。
この詩は、単なる怪談としてではなく、人間の心の闇や、真実が持つ力、そして、信じるということの意味について、深く考えさせられる作品だと感じました。素晴らしい詩を読ませていただき、ありがとうございました。
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