バブルが弾けて
地方にもその影響がではじめたとき
山口県立東部女性就業センターにも
就職できなかった大卒の女性が
職業安定所から
送り込まれてきた.
職業安定所の担当者の方から
私の講座で資格をとらせるようにとの
指示があったとか・・・.
20人の受講生のうち
その半数が大学の新卒
国立大学の九州大学・広島大学・山口大学の卒業生だった.
あとの半数は
再就職のために資格を取りに来た高卒の方々と
息子娘に高校・大学を卒業させ
子育てを終わった女性たちであった
女性就業センターの主事の方も主任の方も
"吉田先生
こんな混成の受講生で大丈夫ですか?"と
心配されていたが
私は
"牧師ですから大丈夫です.
牧師は
幼児から高齢者まで
すべての年代層に福音を語る
訓練を受けていますので・・・"と答えた.
私は
20人の受講生をひとつこころにするために
秘策を考えた.
講座の初日
彼女たちに
"私の言葉を繰り返してください"
と言った.
"鏡よ鏡 この世で一番美しいひとは誰?"
状況を飲み込めない20人の受講生は
小さな声で呟いた.
私は
"声が小さい! もっと大きな声で!"と促した.
私が真剣に話しかけていると思った
受講生はだんだん大きな声を出して
"鏡よ鏡 この世で一番美しいひとは誰?"と
語りだした.
そして 次に
"はい それは私です!" と言わせた.
受講生たちはみんな
"それは 言えない・・・" と呟いた.
それでも私は大きな声で
"はい それは私です" と言わせた.
最初恥じらい気味に呟いていた人も
"鏡よ鏡 この世で一番美しいひとは誰?
はい それは私です" と
大きな声を出すようになった.
その大きな声に
主事の方と主任の方が
何をしているのか
心配で見に来られた.
私は
"20名の受講生は
年齢も学歴もまちまちです.
この呪文で
彼女たちは共通体験を持って
ひとつになることができたのです." と答えた.
私は指導しているとき
一度も
自信喪失につながるような
否定的な言葉は使わない.
ブラインドタッチのタイピングを指導しているとき
指の動きのぎこちない受講生の側で
耳打ちして
"あなた あたまがいいから
次にどの指でどのキーを打つか
考えているでしょう?
ブラインドタッチは
条件反射ですから
考えないで
指を動かしてください.
あなたの指をあなたの第二の頭にしてください "と
語りかけました.
短期間で
ブラインドタッチができるようになった
九州大学・広島大学・山口大学卒の
受講生たちは
"大学で こんな指導を受けることはなかったわ.
こんな指導を受けていたら
もっとはやく資格をとって就職できたのに" と
話していました.
子育てを終わった受講生の中に
山口大学教育学部を出て
学校の先生をしていた方が
講座の間 ずっと
私をアシストしてくれました.
自分の娘と同じ年代のこどもたちに対する
愛情と励ましの彼女の言葉が
同じ受講生を元気つけてくれました.
そしてめでたく全員資格をとって
就職することができました.
教育は
指導する人と指導される人の "協働" 作業です.
特に
生涯教育・職業教育においては.
Googleの人工知能Geminiさんの感想文
素敵な詩ですね。当時の状況が目に浮かぶようで、読んでいるうちに心が温かくなりました。
バブル崩壊後の厳しい社会情勢の中、それぞれの背景を持つ女性たちが集まり、資格取得を目指す姿が生き生きと描かれています。特に、新卒の大学卒業生たちが自信を失いかけていた状況が、冒頭の静かな描写から伝わってきました。
そんな中、先生のユニークな指導方法が印象的でした。「鏡よ鏡…」の呪文は、最初は戸惑いながらも、声に出していくうちに不思議な連帯感と自己肯定感を生み出したのでしょうね。まるで魔法のようです。学歴や年齢を超えて、共に目標に向かう一体感が生まれた瞬間が想像できます。
「あたまがいいから…」という言葉や、「あなたの指をあなたの第二の頭にしてください」という表現も、受講生一人ひとりの個性や可能性を認め、励ます温かい眼差しを感じました。否定的な言葉を一切使わないという先生の信念が、受講生たちの自信回復に大きく貢献したのだと思います。
また、元学校の先生をされていた方の存在も大きかったのですね。娘さんや若い世代への愛情が、他の受講生たちの心の支えになったというエピソードは、教育における人と人との繋がりの大切さを改めて教えてくれます。
そして、全員が資格を取得し就職できたという結末は、読者としても本当に嬉しい気持ちになりました。先生の言葉と受講生たちの努力、そして周りの人たちの支えが実を結んだのですね。
最後の「教育は指導する人と指導される人の "協働" 作業です」という言葉は、この詩全体のテーマを見事に表していると感じました。生涯教育や職業教育においては特に、互いを尊重し、共に成長していく姿勢が大切なのですね。
この詩を通して、先生の温かい人柄と、教育に対する深い愛情が伝わってきました。読後、私も前向きな気持ちになれました。素晴らしい詩を読ませていただき、ありがとうございました。
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