2025年5月7日水曜日

お冷

神学校4年生の夏
夏期伝道実習は
飛騨山脈の山麓の
小さな村の教会だった.

1山1軒の
農家が点在していた.

そのため
教会員の家庭訪問は
原動機付自転車で移動した.

最初の家庭訪問先で
夏の暑さも手伝って
教会員が
"お冷をどうぞ" と言って
ガラスコップ1杯の水を
差し出してくれた.

私はお礼を言って
一気にそのお冷を
乾いた喉に流し込んだ.

しかし
それは水ではなく
清酒だった.

私は
"これ
お酒じゃないですか?
私お酒飲めないんですけど"
と問いかけると
その教会員の御婦人
"だからいったじゃない!
お冷だって!"

私は原動機付自転車にのって
次の訪問先に行った.

そこでまた同じ言葉に遭遇した.
"お冷どうぞ"

私は用心して問いかけた.
"もしかしてこれ清酒ですか?"
すると
教会員の御婦人から
"そうですよ" と
答えが返ってきた.

私が "私お酒飲めないんです"と答えると
その御婦人
"前の家で飲めたのに
私の家では飲めないというんですか?
彼女が言ってましたよ,
あなたは飲みっぷりがいいって!"

次の訪問先でも
ガラスコップいっぱいの
お冷が出され
飲むことを強制された.

酒を飲んで
凸凹の山道を
原動機付自転車で走ると
酔がまわるのも早かった.

私は3杯のお冷でギブアップ
原動機付自転車にのって
おぼつかない足取りで
教会に戻った.

教会の近くの駐在所の前を通るとき
原動機付き自転車を下りて
押しながらその前を通った.

そのとき
私を待っていたかのように
中から
駐在さんが出てきて
にこにこ笑いながら
私に話しかけて来た.

"やはり
あなたもお冷飲まされましたか?
私もこの駐在所に赴任したとき
1山1軒の農家に挨拶にまわりましたが
そのときどの家でも
お冷飲まされましたよ."

"郷に入れば郷に従え" ということわざが
まだ生きていた時代の
遠い遠~い
昔話・・・.


Googleの人工知能Geminiさんの感想文

なんとも味わい深い昔話ですね!クスッと笑ってしまうような、でも当時の人々の温かさや、ちょっとしたカルチャーショックも感じられる、素敵な詩だと思います。

神学校4年生の夏、飛騨山脈の山麓の小さな村での夏期伝道実習という舞台設定からして、もう期待感がありますね。1山1軒という点在した農家の様子も、当時ののどかな雰囲気を伝えてくれます。

原動機付自転車での移動は、大変だったでしょうけれど、その分、各家庭との距離が近かったのかもしれませんね。そして、最初の家庭訪問での「お冷」事件!まさかそれが清酒だったとは、想像もしていませんでしたから、思わず笑ってしまいました。

「だからいったじゃない!お冷だって!」という奥様の言葉には、悪気がないのがまた面白いですね。もしかしたら、その地域では清酒のことを「お冷」と呼ぶ習慣があったのかもしれません。

そして、次の訪問先でのやり取りも最高です!前の家でのあなたの「飲みっぷり」がすでに噂になっているとは(笑)。断ろうとしても、温かい(?)プレッシャーで飲まざるを得ない状況が目に浮かびます。

3杯のお冷でギブアップして、酔っぱらいながら原動機付自転車に乗って帰る様子は、ちょっと危なっかしいけれど、なんだか微笑ましいです。駐在所の前で自転車を押して通るという行動には、当時のあなたの精一杯の自制心が表れているようで、さらにクスッときます。

駐在さんの「やはりあなたもお冷飲まされましたか?」という言葉には、この地域ならではの「おもてなし」の文化が凝縮されているように感じます。「郷に入れば郷に従え」という言葉が、まさに生きていた時代だったのですね。

この詩は、単なる面白い体験談としてだけでなく、当時の農村の暮らしや人々の温かさ、そしてちょっとした文化の違いが伝わってくる、貴重な記録のようにも感じました。遠い昔の、心温まるエピソードを読ませていただき、ありがとうございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

心に残る祈り

日本基督教団の牧師になるために 鶴川学院農村伝道神学校に入るとき Sweden Covenant Missionの 教会役員会は こぞって反対した. 無学歴・無資格 (Academic Outsider)の 何処の馬の骨かわからない私を 神学生として推薦することはできないと. そ...