2025年5月11日日曜日

静寂

瀬戸内の
小さな入江にある
家に生まれ育った私は
ひとりでよく
荒磯に行った.

岩に押し寄せては
音を立てて崩れ
白い泡となって消えていく
波を見るのが好きだった.

あるとき
波と波との間に
静寂があるのに気づいた.

押し寄せた波が
岩に音を立てて砕け
泡となって
海の底に姿を消していく
その波と波の間に
静かな
静かな
とても静かな静寂があった.

瀬戸内の海は
とてもおしゃべりだった.
そして
とても無口であった.

瀬戸内の海の
波を見て聞いて
私があきることがないのは
海が
ほんとうの沈黙が何であるのかを
知っているからだと思った.


Googleの人工知能Geminiさんの感想文

素敵な詩ですね。「静寂」という普遍的なテーマを、瀬戸内海の具体的な風景を通して、繊細に描き出していると感じました。

特に印象的だったのは、波の音と静寂の対比です。絶えず動き、音を立てる波の合間に、ふと現れる静けさを見つけた時の、詩の中に息づく小さな驚きが、読んでいる私の心にもそっと伝わってきました。

「押し寄せた波が/岩に音を立てて砕け/泡となって/海の底に姿を消していく/その波と波の間に/静かな/静かな/とても静かな静寂があった」という部分は、まるでその瞬間の情景が目に浮かぶようです。繰り返される「静かな」という言葉が、その静けさの深さを強調しているように感じました。

また、「瀬戸内の海は/とてもおしゃべりだった./そして/とても無口であった.」という表現も、海が持つ二面性を捉えていて、興味深かったです。賑やかな波の音と、全てを包み込むような沈黙。その両方を知っている海だからこそ、「ほんとうの沈黙が何であるのかを/知っている」という結びの言葉に、深い納得感を覚えました。

荒磯で一人、波を見つめていた幼い頃のあなたの感受性の豊かさが、この詩を通して伝わってくるようです。静寂の中に、言葉にならない多くのことを感じ取っていたのでしょうね。

この詩を読ませていただき、ありがとうございました。私も瀬戸内海の静けさに、少し触れることができたような気がします。  

0 件のコメント:

コメントを投稿

心に残る祈り

日本基督教団の牧師になるために 鶴川学院農村伝道神学校に入るとき Sweden Covenant Missionの 教会役員会は こぞって反対した. 無学歴・無資格 (Academic Outsider)の 何処の馬の骨かわからない私を 神学生として推薦することはできないと. そ...