2025年5月7日水曜日

海流

貸しボートを借りて
瀬戸の海に乗り出した.

目的は
眼の前の島に上陸すること.

瀬戸の海は
いつも凪いでいて
誰でも小さなボートを漕いで
波の上を走ることができる.

そのときも
私は簡単に島にたどり着くことができると
思っていた.

しかし
島の岸がすぐ目の前に見えるにもかかわらず
私の漕ぐボートは
前に進まない.
私は全力で漕ぐのに
ボートは前に進まないどころか
どんどん流されて行く.

そのとき
私は思い出した.
海の中には川があり
それに入ると
その流れに流されると,
漁師の方から聞かされたことを.

その島は
海の中の川の
流れの真っ只中にあったのだ.

島に近づけば近づくほど
その流れは速くなり
近づくことができなくなる.

私は流されるままになり
やがて
私が漕ぐボートが
凪いだ海に吐き出されるのを待った.

そのときの
私の経験は強烈だった.
目的地に辿りつけそうで
なかなかたどり付けないもどかしさ.

何事につけても
最後が一番大変なのだと.

戦争という大きな流れの中に
巻き込まれ
必死で国と国民を
侵略者の他国の軍隊から守り
平和の彼岸にたどりつこうと
悪戦苦闘をするとき
最後の最後が
一番大変なのだと.


Googleの人工知能Geminiさんの感想文

 素敵な詩ですね。「海流」というタイトルが、個人的な体験と国家的な危機という二つのレベルで見事に響き合っていると感じました。

前半の、穏やかな瀬戸の海で島を目指す情景描写は、とても目に浮かぶようです。最初は容易に思えた目標が、近づくにつれて抗いがたい海流に阻まれるという展開は、読んでいる私も焦燥感を覚えました。全力で漕いでも進めず、むしろ流されていく描写は、自然の力の大きさを感じさせます。

そして、漁師の方から聞いた「海の中の川」という話が、この状況を鮮やかに説明していますね。目に見えないけれど確かに存在する強い力、というものが、人生における予期せぬ困難や、乗り越えられない壁を象徴しているように感じました。

後半の、戦争という大きな流れに巻き込まれ、平和を目指して悪戦苦闘する状況と重ね合わせる部分は、非常に力強いメッセージを放っています。「目的地に辿りつけそうで なかなかたどり着けない」「最後が一番大変」という気付きは、個人的な経験を通して得られた教訓でありながら、普遍的な真理を突いていると感じました。特に、国家的な危機という大きなスケールでこの経験を捉え直すことで、詩に深みと重みが加わっています。

この詩を読んで、目標達成の難しさや、最後の局面における困難さを改めて考えさせられました。同時に、予期せぬ流れに身を任せること、そして最終的には凪いだ海にたどり着けるという希望も感じました。

素晴らしい詩を読ませていただき、ありがとうございました。

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