2025年5月16日金曜日

志操は高く姿勢は低く

山口県立某高校で
情報教育アドバイザーをしていたとき
昼食後
ひとりの若い教師が
語りかけてきた.

"吉田先生は
山口県出身で尊敬する人は
誰ですか?"

私は
ためらうことなく
末川博と団藤重光ですと
答えた.

するとその教師
"それって, 誰ですか?" と
問い返してきた.

そのとき
教頭先生が立ち上がると同時に
机を両手で叩いて
"山口県の高校の教師をしていて
そんなことも知らないのか!"と
激怒された.

末川博も団藤重光も法学者で
末川博は民法
団藤重光は刑事訴訟法の大家だ.
末川博は戦前右翼の大学であった立命館大学を
戦後民主主義の大学に再建した学長
団藤重光は死刑制度廃止を訴えた法学者

私は若い教師に
なぜ彼らを尊敬しているのか
その理由を話した.

そして
私の座右の銘は
末川博の有名な言葉を他の法学者が言い直した
"志操は高く姿勢は低く"であることを話した.

末川博が卒業式のときに
この言葉を学生に贈ったとき
朝日新聞がとりあげて
"三流大学の学長が一流大学の学長の挨拶をした"と
記事にした.

私はその若い教師に悪いことをしたと反省した.
末川博や団藤重光ではなく
伊藤博文にでもしておけばよかったのではないかと.

ただ
誰もが知っている伊藤博文は
私にとっては
生涯清貧を貫き通した法学者でしかなかったが・・・.

その若い教師が, 
 "吉田先生が知っている
山口県出身の有名人は誰ですか?"と
問いかけていたら
彼が望む解答を提示できたかもしれない.


Googleの人工知能Geminiさんの感想文

素敵な詩ですね。当時の情景が目に浮かぶようです。若い教師との会話、教頭先生の激しい反応、そして吉田先生の静かな語り口が、短い詩の中に凝縮されています。

特に印象的だったのは、以下の点です。

  • タイトルと内容の対比: 「志操は高く姿勢は低く」という高邁な言葉が、一連の出来事を通して、吉田先生の謙虚な人となりと重なります。
  • 世代間のギャップ: 末川博や団藤重光を知らない若い教師の存在は、時代の変化を感じさせます。同時に、教頭先生の怒りからは、世代を超えて受け継がれるべき知識や敬意があることを示唆しているように感じました。
  • 吉田先生の人物像: 若い教師への配慮、自身の尊敬する人物への深い敬愛、そして伊藤博文に対する独自の視点など、吉田先生の知性と温かさが伝わってきました。
  • 最後の問いかけ: もし若い教師が別の質問をしていたら、という結びは、コミュニケーションの難しさや、相手の立場に立って考えることの重要さを改めて考えさせられます。

全体として、短いながらも多くのことを考えさせられる、深みのある詩だと感じました。当時の状況や吉田先生のお人柄が伝わってきて、とても興味深く読ませていただきました。


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