2025年4月17日木曜日

悲しい海

まだまだ幼いとき
私はとっても悲しい
海を見た.

一人の女工さんが
勤めていた紡績工場の
正門の前の岸壁から
身を投げて死んだという.

みんなの後を追って
その現場にたどりついたとき、
潮の引いた
海の底に
むしろをかけられた人の
白い足がはみ出していた.

その手首はカミソリで切られ
そのまわりには
労働組合運動に立ち上がった
同士の女工さんの数だけ
カミソリが散らばっていたという.

お姉さんの覚悟の抗議の死だった.

お姉さんを
死においやったもの
こどもこころに
憤りを感じた.

幼い私が見た
海の底によこたわる
女工のお姉さん、
私が二十歳になり
三十歳になり
四十歳になり
歳を積み重ねるにつれて,
幼い私にとって
お姉さんだったあのひとは
まだまだ幼い十六、七の
こどもでしかなかったのだと.

春の朝の海は
私のこころのなかに
ひとの死の悲しさを
刻みつけた.


Googleの人工知能Geminiさんの感想文

拝見しました。胸に深く突き刺さるような、強い感情が込められた詩ですね。幼い日の鮮烈な記憶が、歳月を経ても色褪せることなく、作者の心に深く刻まれていることが伝わってきます。

以下に、読んだ感想をいくつか述べさせていただきます。

鮮明な情景描写と幼い視点

「潮の引いた海の底に/むしろをかけられた人の/白い足がはみ出していた」という描写は、幼い作者にとってどれほど衝撃的な光景だったでしょうか。直接的な表現でありながら、その場の静けさや、覆い隠せない現実の残酷さが伝わってきます。また、「白い足」という細部に焦点を当てることで、より一層、亡くなった方の存在が生々しく感じられます。

「みんなの後を追って/その現場にたどりついたとき」という一文からは、子供ながらに何かただ事ではないと感じ、現場に駆けつけた作者の姿が目に浮かびます。大人の世界で起きた悲劇を、子供の視点から捉えていることが、より一層読者の心を揺さぶります。

言葉にならない憤りと悲しみ

「お姉さんを/死においやったもの/こどもこころに/憤りを感じた」というストレートな感情の吐露は、読者の胸に直接響きます。幼いながらに、不条理な死に対して抱いた強い憤りが、短い言葉の中に凝縮されています。

歳月を経て、亡くなった女工さんがまだ幼い少女であったことに気づくくだりは、深い悲しみと同時に、社会の矛盾や理不尽さに対する改めての怒りを呼び起こします。「幼い私にとって/お姉さんだったあのひとは/まだまだ幼い十六、七の/こどもでしかなかったのだと」という気づきは、読者にとっても衝撃的であり、言葉を失います。

歳月を超えて残る記憶

「私が二十歳になり/三十歳になり/四十歳になり/歳を積み重ねるにつれて」という時間の流れの描写は、幼い日の記憶が、その後の人生においても決して忘れられることのない、深い傷として残っていることを示唆しています。

そして、「春の朝の海は/私のこころのなかに/ひとの死の悲しさを/刻みつけた」という結びは、美しい春の海の風景と、そこで目撃した悲しい出来事とのコントラストが、より一層その悲しみを際立たせています。個人的な悲しみであると同時に、労働者の置かれた過酷な状況や、命の尊さといった普遍的なテーマへと昇華されているように感じました。

全体を通して

短い詩の中に、幼い日の強烈な体験、その後の人生における深い感情の変遷、そして社会への問いかけが凝縮されており、非常に心を揺さぶられる作品でした。作者の純粋な悲しみと憤りが、読者の心にも深く刻まれます。

素晴らしい詩を読ませていただき、ありがとうございました。

もしよろしければ、この詩を書かれた時のことや、込めた思いなど、もう少しお聞かせいただけますでしょうか?


(私)

日本の高度経済成長への途上,いろいろな社会的なひずみが存在していました. 中学校を卒業すると同時に紡績工場に入って不当な労働環境に置かれ少女たちは, はちまきをしてスクラムを組んで会社の外に座り込んで待遇改善を要求していました. 会社側は労働組合をつぶすために暴力団を雇って彼女たちに人間の糞尿をぶちまけていました.

そのリーダーであった女工のお姉さんの死を見た帰り,隣のおじさんと一緒に帰りましたが,そのときその紡績工場の塀の上に張られて鉄条網について話をしてくれました. 軍事基地では鉄条網は外部の人間が基地に無断侵入できないようにその上部が外側に向いているのに,紡績工場の塀の上の鉄条網は女工さんが集団脱走しないように内側に向いていると話してくれました.

日本の高度経済成長と豊かさの過程で,このような悲惨なできごとがあったことを忘れてはnならないと思うのです. 時代が逆行して,再び同じような状況が作り出されないように, 私はいつも祈っています.


Googleの人工知能Geminiさんの言葉

詳細な背景を教えてくださり、ありがとうございます。お話いただいた内容は、当時の日本の社会が抱えていた矛盾や痛みを鮮明に物語っており、改めて胸が締め付けられる思いです。

高度経済成長の陰で、未来を担う若い女性たちが、想像を絶するような過酷な労働環境に置かれ、人間としての尊厳を踏みにじられるような仕打ちを受けていた事実は、決して風化させてはならない歴史の一ページです。労働組合運動に対する暴力的な弾圧、そして集団脱走を防ぐために内側に向けて設置された鉄条網の話は、当時の労働者の置かれた絶望的な状況を象徴しており、言葉を失います。

お姉さんの覚悟の抗議の死は、そのような非人間的な状況に対する、痛ましいながらも強い告発だったのでしょう。幼い作者がその光景を目撃し、深い悲しみと憤りを覚えたのは当然のことだと思います。

「日本の高度経済成長と豊かさの過程で,このような悲惨なできごとがあったことを忘れてはいけないと思うのです。」というお言葉、そして「時代が逆行して,再び同じような状況が作り出されないようにいつも祈っています。」という強い願いは、現代に生きる私たちにとっても深く心に刻まれるべきメッセージです。

過去の過ちを真摯に受け止め、二度と繰り返さないために、私たちは歴史から学び続けなければなりません。作者の詩は、当時の悲劇を鮮やかに描き出し、私たちにその教訓を改めて思い起こさせてくれる、非常に重要な作品だと感じました。

貴重なお話と詩を共有してくださり、本当にありがとうございました。

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