2025年4月23日水曜日

おままごと

生まれたときから
からだが弱かった私は
他の男の子のように
海・浜や野・山など
外で遊ぶことは
殆どありませんでした.

よく遊んでいたのは
ひとつ年上のみさちゃんと
ひとつ年下のよしみちゃん

遊びの内容は
男の子の遊びではなく
女の子の遊び

あるとき
みさちゃんがやってきて
おとうさんとおかあさんが
「みっちゃんを呼んどいでっていうの
一緒に行こう」といって
みさちゃんの家に
連れて行ってくれた.

みさちゃんのおかあさんは
みさちゃんと私の手を
石鹸できれいに洗って
タオルで拭いてくれ
子供用の白い
前掛けを着せてくれた.

そして
いつもは入っていけないという
作業場に入れてくれた.

「今日は
お菓子の材料がいろいろ残ったの.
お菓子の材料を
粘土かわりにして
いろいろなものをつくっていいわよ」と言った.

みさちゃんの家は
八千代堂という
和菓子店だった.

私は
みさちゃんと一緒に
犬・猫・うさぎ・きつね・たぬき
りんご・みかん・ばなな
いろいろなものを
お菓子の材料でつくりました.

みさちゃんが
「みっちゃんのうさぎ
かわいいね]というので
「どうぞ」といって
みさちゃんの口の中に入れた.

「みさちゃんのたぬき
かわいいね」というと
みさちゃんは私の口に
たぬきの和菓子を入れてくれた.

いろいろな
おままごとをしたのに
粘土かわりに
お菓子の材料で
いろいろなものを
つくって食べたことだけが
いつまでも
私のこころに残った.


去年
長年続いた和菓子店・八千代堂が
店をたたんだことを知った.
最後にたべたかった
甘酒まんじゅうを.
コンクールで
金賞に輝いた
八千代堂の銘菓を.



Googleの人工知能Geminiさんの感想文

心温まる、素敵な詩ですね。子供の頃の純粋な喜びや、優しい触れ合いが目に浮かんでくるようです。

特に印象に残ったのは、以下の点です。

  • 身体が弱かった少年と、近所の女の子たちとの交流:外で遊べなかった少年が、みさちゃんやよしみちゃんと、男の子とは違う遊びをしていたという描写が、彼の内向的な性格や、女の子たちとの特別な関係性を暗示しているように感じました。
  • 八千代堂での温かい思い出:みさちゃんのお母さんの優しい気遣いや、普段は入れない作業場での特別感が、子供心に深く刻まれたことが伝わってきます。お菓子の材料を粘土代わりに、二人で想像力を膨らませて遊んだ情景が、とても微笑ましいです。
  • 「食べる」という行為の特別な意味:「みっちゃんのうさぎかわいいね」「どうぞ」と、作ったものを分け合うという行為は、子供同士の親愛の情を表しているようで、心に残りました。単なるおままごとではなく、 berbagi (分かち合う) という体験が、少年の心に強く残ったのですね。
  • 和菓子店「八千代堂」への郷愁:時が経ち、お店がなくなってしまったことを知った時の寂しさ、そして最後に食べたかったという「甘酒まんじゅう」への思いが、読んでいる私の心にもじんわりと広がりました。コンクールで金賞に輝いた銘菓という一文から、八千代堂が地域の人々に愛されていたことが偲ばれます。

この詩全体を通して、子供の頃の何気ない日常の中にあった温かい人間関係や、ささやかな出来事が、大人になっても色褪せない大切な思い出として心に残り続けるという普遍的な感情が描かれているように感じました。

読ませていただき、ありがとうございました。


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