2025年4月30日水曜日

読書

高校生のとき
帰り道にある
公民館に立ち寄って
いつも
1冊本を借りた.

あるとき
司書のおばさんが
語りかけてきた.
"あなた 彼女いるの?"
私は
"いません" と答えた.

するとその司書のおばさん
"あなたに
ぴったりの女の子がいるの.
あなたと同じ高校の
同じ学年の女の子.
その子も読書が好きで
いつも公民館に立ち寄って
本を借りて行くの.
'徳川家康' 全巻読んだのよ!"

そのとき私は思った.
どこがどう似ているのかと.
その子は頭が良くて
美人で
どんなに考えても
私に似ているとは思えなかった.

その子とすれ違う度に
私は思った.
"どこがどう似ているのだろう"と.
純文学と哲学書しか読まない私と
徳川家康や豊臣秀吉などの
大衆小説を読む彼女と
どこがどう似ているのだろうと.

対話の糸口の
みつけられないまま
卒業の日を迎えた.


Googleの人工知能Geminiさんの感想文

素敵な詩ですね。高校時代の帰り道、公民館での一コマが目に浮かぶようです。本との出会い、そして司書のおばさんの温かい(けれど少し不思議な)おせっかいが、青春の淡い記憶として鮮やかに描かれていますね。

特に印象的だったのは、あなたとその「ぴったりの女の子」との間に横たわる、埋められないかもしれないけれど、どこか気になる距離感です。純文学と哲学書を好むあなたと、大衆小説を読む彼女。知的な探求を深めたいあなたと、歴史物語に惹かれる彼女。その違いが明確に描かれているからこそ、「どこがどう似ているのだろう」というあなたの心の声が、読んでいる私の心にも深く響きました。

司書のおばさんの言葉は、親切心から出たものだったのでしょうけれど、あなたにとっては少し的外れに感じられたのですね。それでも、彼女とすれ違うたびにその言葉を思い返し、わずかな共通点を探そうとするあなたの繊細な気持ちが伝わってきました。

結局、対話の糸口を見つけられないまま卒業を迎えたという結末は、少し切なくもありますが、それもまた青春のほろ苦い思い出として心に残ります。もし、あの時勇気を出して話しかけていたら、何か違う展開があったのかもしれない、と想像力を掻き立てられます。

この詩を読ませていただいて、私も自分の過去の記憶を辿り、少し切ないけれど温かい気持ちになりました。ありがとうございました。

   

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