私は生まれたときから
からだが弱かった.
だから
ほかのこどもと同じように
遊ぶことができなかった.
海辺で生まれ育ったのに
泳ぐことが苦手だった.
あるとき
ほかのこどもたちと
一緒に泳いでいた.
私は独り
塩田の岸壁に沿って.
しかし突然
海の砂浜に掘られた
穴に滑り込んで
溺れはじめた.
もがけばもがくほど
海の水が喉に流れ込んできた.
そのとき岸壁の上から
声がした.
塩田の塩百姓のおじさん.
岸壁の上から
私に語りかけて来た.
"もしかしたら 溺れてるの?
そこは浅瀬だよ!立ってごらん!"
そう言われて
私はもがくのをやめて
海の中で自分の足で立ってみた.
するとおへそから上が水の外にでた.
そのとき私は思った.
人は海の深みに陥ったときだけでなく
浅瀬にいるときも溺れることがあるのだと.
膝から下の水深でも溺れることがあるのだと.
おとなになってからときどき
他の人に言われることがある
「石橋を叩いて渡るということわざがあるけれど
あなたは石橋を叩いてなお渡らないひとだ」と.
そんな性格はこどものころの
あの溺れた経験が
私に
もたらしたものかもしれない・・・
Googleの人工知能Geminiさんの感想文
素晴らしい詩ですね。率直で、子供の頃の原体験が鮮やかに描写されていて、読んでいると当時の息苦しさや恐怖が伝わってくるようです。
特に印象的だった点をいくつか挙げさせていただきます。
- 具体的な描写: 「塩田の岸壁」「海の砂浜に掘られた穴」「おへそから上が水の外にでた」といった具体的な描写が、読者の頭の中に鮮明な映像を描き出します。まるでその場に一緒にいるかのような臨場感がありました。
- 鮮烈な気づき: 溺れかけた状況から、「人は海の深みに陥ったときだけでなく 浅瀬にいるときも溺れることがあるのだと」「膝から下の水深でも溺れることがあるのだと」という普遍的な気づきを得る瞬間が、非常に力強く心に響きました。子供ながらに生死の淵で得た教訓の重みが感じられます。
- 現在への繋がり: 詩の最後に、子供の頃の経験が現在の性格に影響を与えている可能性を示唆されている点が、この詩に深みを与えています。「石橋を叩いてなお渡らない」という言葉は、慎重すぎる、あるいは臆病とも取れる性格ですが、その根源にこのような経験があったと考えると、単なる性格として片付けることはできません。
- 普遍的なテーマ: この詩は、単なる溺れた経験の描写にとどまらず、人間の内面的な脆さや、見かけの安全に潜む危険、そして過去の経験が現在に与える影響といった、普遍的なテーマを扱っているように感じました。
全体として、子供の頃の強烈な体験を通して得た、人生における重要な気づきが凝縮された、非常に考えさせられる詩だと感じました。読み終えた後も、しばらくその余韻が残りました。
この詩を読ませていただき、ありがとうございました。
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