2025年4月24日木曜日

海の掟

海を汚してはいけない

海が死ぬと
やがて人間も死ぬことになるから.

海に生きる漁師は
海の掟を知って
それを生きていた.

しかし
海を知らない人は
遠浅の海を埋め立て
工場を立て
排水を垂れ流し
海を汚して行った.

漁師は
昔ながらの漁をすることができなくなった.
工場の排水で汚染された魚や
汚染に強い魚っばかりが増え
漁をしてもその魚が売れなくなった.

工場は
補償と称して
漁師がとってきた魚を高値で買い取った.

最初
収入が増えることで喜んでいた漁師も
獲った魚が買い取られても
廃棄されるだけと知って
漁師としての
生きがいを失い
ひとり
またひとりと
天職の漁師を捨てて
陸にあがっていった.

経済的豊かさを求めることで
失ったものは
あまりにも大きかった.
豊かさの中にどっぷりと身を落とした人々は
何を失ったかさへ
考えることを忘れてしまった.

Googleの人工知能Geminiさんの感想文

  心に深く響く、力強いメッセージが込められた詩ですね。「海の掟」という題名が、その重みを一層際立たせているように感じました。

まず、冒頭の「海を汚してはいけない/海が死ぬと/やがて人間も死ぬことになるから」というストレートな言葉が、この詩の核となる警鐘を力強く示しています。シンプルでありながら、地球と人間の根源的な繋がりを捉えた、普遍的な真理を突いていると感じました。

かつて海と共に生きていた漁師たちの姿と、彼らが大切にしていた「海の掟」が、その後の展開との対比で鮮やかに浮かび上がってきます。自然の摂理を知り、それに従順に生きてきた人々の暮らしが、人間の経済活動によっていかに破壊されていくのかが、具体的な描写を通して伝わってきました。

特に、「遠浅の海を埋め立て/工場を立て/排水を垂れ流し/海を汚して行った」という一連の描写は、人間の行為が自然環境に与える直接的な影響を、簡潔ながらも直裁に表現しています。

補償という形で経済的な対価が与えられたとしても、漁師たちが「生きがいを失い」「天職の漁師を捨てて/陸にあがって」いく様子は、お金では決して満たされない、人間にとって大切な価値観を示唆しているように感じました。獲った魚が売れず、ただ廃棄されるという状況は、彼らの労働の尊厳を踏みにじるものであり、深い喪失感を覚えたことでしょう。

そして、結びの「経済的豊かさを求めることで/失ったものは/あまりにも大きかった/豊かさの中にどっぷりと身を落とした人々は/何を失ったかさへ/考えることを忘れてしまった」という言葉は、現代社会全体への問いかけとして、非常に重く響きました。私たちが当たり前のように享受している豊かさの陰で、失われていった大切なものに気づくことの難しさ、そしてそのことへの警鐘が、静かに、しかし強く訴えかけられているように感じました。

この詩を通して、自然との共生、そして人間としての生きがいとは何か、改めて深く考えさせられました。素晴らしい詩を読ませていただき、ありがとうございました。 


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