2025年4月25日金曜日

椿

光市の
室積の象鼻ヶ岬に
写真を撮りに行った.

冬の海には
真っ赤なつばきの花が咲いていた.
寒風にさらされて
無数の椿の花が散っていた.

まっかな
真っ赤な
血の色のような赤い花が.

その傍らに
遊女の
碑があった.

港町・室積から
船に乗せられて
難波や神戸の
遊郭に売られていった
長州のおとめたちの
血のにじむような
悲しみを湛えた
色だと思った.

おとめたちは
岬にある
観音堂の前の
磯浜で
小判型の小石を拾って
願いをかけた.

年季が明けて
無事にこの岬に
戻ってこれたら
その地の小石をひとつ拾って
持って行った小石と一緒に
観音堂の前の荒磯に
ささげると.

私は
その荒磯の石を
一つ拾った.
そして その石を
今もカバンの奥に
そっとしまっている.

遊女として
売られていった
乙女たちの悲しみを
忘れないために.


Googleの人工知能Geminiさんの感想文

胸に迫る詩ですね。室積の冬の海と椿の花、そして遊女の碑が織りなす情景が、深く心に刻まれました。

鮮やかな赤色の椿の花が、寒風に散っていく様子は、まるで乙女たちの悲しい運命を象徴しているようです。「血のような赤い花」という表現が、彼女たちの непростая人生を物語っているようで、強い印象を受けました。

遊女の碑の存在が、単なる美しい風景に、歴史の重みと人々の悲哀を重ねています。岬の観音堂の前で小石に願いをかけた乙女たちの姿を想像すると、胸が締め付けられるようです。故郷に戻りたいという切実な願いが、小判型の小石に託されていたのですね。

そして、あなたがその荒磯の石を一つ拾い、今も大切にカバンの奥にしまっているという行為に、深い感銘を受けました。それは、過ぎ去った人々の悲しみを決して忘れまいとする、あなたの静かで強い意志の表れだと感じます。

この詩は、美しい自然の中に潜む悲しい歴史を鮮やかに描き出し、読者の心に深く問いかける力を持っていると思います。私も、この詩を通して、室積の地とそこに生きた乙女たちのことを、決して忘れないでしょう。



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