父から
祖父の吉田永学は
信州信濃の出身だと聞いた.
それで
私は
中学1年生のとき
長野の中学生と文通をすることにした.
少しでも祖父のふるさとを
知ることができるのではないかと思って.
しかし紹介されたのは
長野は長野でも
信濃ではなく
木曽の中学生だった.
長野県西筑摩郡上松町の中学校
校庭の真っ只中を川が流れ
木曽駒ヶ岳を眺めることができる
"朝夕に 駒ヶ岳を仰げば
若人の胸は高鳴る
夢多き青春の日に
永久の真理求めん・・・"
彼女はいつも
木曽の山と
山の暮らしについて
手紙に書いてきた.
私は
瀬戸の海と
海の暮らしについて
手紙を書いた.
まったく
噛み合わないような
文通であったが
中学1年生から高校2年生まで
続いた.
私が瀬戸の海を見つめているのと
同じ気持ちで
彼女は木曽の山々を見ていると
知った.
海は偉大であり
山も偉大であった.
文通をはじめて
まもなく
私は
カルチャーショックを受けた.
彼女は
文学少女であり
いろいろな本を読んで
その感想を手紙に書いてきた.
私はその本を
中学校の図書室や
公民館の図書室で借りて読んだ.
島崎藤村の詩集"若菜集"
小説 "桜の実の熟する時"
島崎藤村の小説 "破壊" を読んだとき
私はショックを受けた.
長野県の中学生は
この小説の内容が分かるのだと.
中学2年生のとき
ホームルームの時間に
担任が最近何の本を読んだか
生徒一人ひとりに聞いて行った.
私は
"樋口一葉のたけくらべを読みました"と
答えた.
担任は声を大にして言った.
"嘘をつくな!
中学生が読める本ではない!"
その担任教師は
私だけでなく
文通相手の文学少女も
バカにしていると
2人分憤慨した.
間違いなく
彼女も読んだし
私も読んだのだ.
高校生になると
1年生のとき300冊
2年生のとき200冊
3年生のとき100冊
高校生活3年間で600冊の本を読んだのは
彼女の影響が大きい.
"みすずかる 信濃の国の
みはるかす 緑のなかに
かぐわしき 歴史をつぎて
はぐくまん 清き真心
上松 上松 我らが母校"
私は彼女との5年間の文通を通して
置かれた状況に左右されることなく
"清き真心" をもって
生きることを学んだ.
Googleの人工知能Geminiさんの感想文
素敵な詩を読ませていただき、ありがとうございます。情景が目に浮かぶようで、じんわりと心に響きました。
まず、タイトルにある「文通」という言葉が、この詩全体を優しく包んでいるように感じました。手紙を通して育まれた、遠く離れた二人の中学生の心の交流が、丁寧に描かれていますね。
お祖父様の故郷である信州への繋がりを求めて始まった文通が、思いがけず木曽の少女との出会いにつながるという、冒頭の少しユーモラスな展開に引き込まれました。信州と木曽、瀬戸の海と木曽の山という、異なる風景の中で育った二人が、手紙を通してそれぞれの世界を共有していく様子が、とても興味深いです。
特に印象的だったのは、お互いの暮らす風景を描写する部分です。
彼女はいつも 木曽の山と 山の暮らしについて 手紙に書いてきた.
私は 瀬戸の海と 海の暮らしについて 手紙を書いた.
まったく 噛み合わないような 文通であったが 中学1年生から高校2年生まで 続いた.
私が瀬戸の海を見つめているのと 同じ気持ちで 彼女は木曽の山々を見ていると 知った. 海は偉大であり 山も偉大であった.
この部分を読んで、言葉を交わすことで、異なる環境に身を置く相手の心に寄り添い、共通の感情を見出すことができるという、文通ならではの魅力を改めて感じました。「海は偉大であり 山も偉大であった」という言葉には、それぞれの場所への深い愛情と、相手への共感が込められていて、胸が熱くなりました。
また、文通を通して文学に触れ、世界を広げていく過程も、鮮やかに描かれています。
彼女は 文学少女であり いろいろな本を読んで その感想を手紙に書いてきた.
私はその本を 中学校の図書室や 公民館の図書室で借りて読んだ.
島崎藤村の詩集"若菜集" 小説 "桜の実の熟する時"
島崎藤村の小説 "破壊" を読んだとき 私はショックを受けた. 長野県の中学生は この小説の内容が分かるのだと.
本を通して、相手の住む土地の文化や歴史、社会に触れ、新たな視点を得る経験は、多感な時期の中学生にとって、かけがえのないものだったでしょう。
担任の先生とのエピソードは、少し苦い思い出として語られていますが、それを通して、お二人の知的好奇心の高さや、文学に対する真摯な姿勢が伝わってきました。先生の言葉は残念でしたが、お二人にとっては、むしろその悔しさが、さらに深く文学の世界を探求する原動力になったのかもしれませんね。
そして、高校生活を通して読まれた600冊という膨大な数の本は、文通相手の彼女の影響の大きさを物語っています。
結びの、上松中学校の校歌の一節を引用された部分からは、彼女の故郷への愛着と、そこで育まれた「清き真心」が、あなた自身の生き方にも深く影響を与えたことが伝わってきました。
私は彼女との5年間の文通を通して 置かれた状況に左右されることなく "清き真心" をもって 生きることを学んだ.
はぐくまん 清き真心"
この詩全体を通して、手紙というアナログな コミュニケーションを通して育まれた、深く温かい人間関係、そして文学との出会いが、あなたの成長に大きな影響を与えたことが伝わってきました。飾らない言葉で綴られた詩の中に、大切な思い出と、そこから得た学びが凝縮されているように感じました。
素敵な詩を共有してくださり、本当にありがとうございました。